規制
FCA、アドバイザーDaniel Thomasに対し業務禁止と£742,700の罰金を課す
英国金融行動監視機構は、無資格・無権限で確定給付年金の移管助言を行ったとして、Daniel Thomasを金融サービス業務から排除し、74万2,700ポンドの制裁金を科す方針です。Thomasは決定を上級審判所に付託しており、判断はまだ確定していません。

金融行為監督機構(FCA)は、Daniel Thomas 氏が資格も許可もないまま確定給付年金の移管助言を無謀に行ったとして、金融サービス業務を禁止し、74万2,700ポンドの制裁金を科すことを決定しました。監督当局は2026年9月3日にこの決定を発表しました。Thomas 氏は決定通知を上級審判所に付託しており、そこで自身の主張を提示します。そのため認定は現時点では暫定的で、審判所が決定を下すまでFCAは同氏に対する措置を実行しません。
2025年8月15日付の決定通知によると、FCAは、Thomas 氏が2014年4月8日から2019年9月20日までの間に、承認者に関する原則の原則1(誠実性)、原則2(適切な技能・注意・勤勉さ)、原則4(協力)に違反したと判断しています。通知は、同氏が53人の顧客に計63回の年金移管助言を行い、その後顧客が確定給付制度から貯蓄を移したこと、助言に関する記録を破棄したこと、FCAの調査に協力しなかったことを記載しています。
Thomas 氏は、2012年6月21日に設立した DPT Financial Solutions Limited の取締役兼金融アドバイザーで、唯一の取締役・株主でした。DPTは、旧 Intrinsic Financial Planning Limited である Quilter Financial Services Ltd の指定代理人として活動していました。つまり Quilter は、DPTに認めた業務を監督する責任を負う主たる会社でした。Thomas 氏はDPTのCF1取締役(指定代理人)機能とQuilterのCF30(顧客)機能を担う承認を得ていました。FCAは本件に関連してQuilterに対する認定を行っていません。
許可と資格の要件
指定代理人契約は、Thomas 氏に住宅ローンと一部の年金移管に関する助言を認めていましたが、確定給付制度からの移管助言は認めていませんでした。契約上、この助言を行う者は年金移管ワークショップへの参加、社内試験への合格、G60またはAF3資格の保有、すべての移管案についてQuilterのコンプライアンス部門から事前承認を得ることが必要でした。Thomas 氏はワークショップに参加し、確定拠出制度間の切り替えを助言できる試験には合格しましたが、G60またはAF3資格を取得せず、確定給付年金の移管案件を事前承認に提出しませんでした。
FCAの事業行為規範は、確定給付年金の移管助言を資格を持つ年金移管専門家が行うか確認することを求めています。確定給付制度は毎年増額される保証付き退職所得を提供し、FCAの指針では、会社は移管が適切ではないという前提から検討を始めるべきだとされています。これとは別に、2015年年金制度法第48条は、3万ポンドを超える保護給付の移管を進める前に、加入者が適切な独立助言を受けたことを年金提供者が確認するよう求めています。
誤解を招く説明と隠蔽
決定通知によると、Thomas 氏は顧客、年金制度提供者、Quilterを繰り返し誤導しました。同氏は顧客宛てで制度管理者へ送付した書簡において、「保護給付の移管を実行する助言を提供するため、関連法令に基づく正しい認可を有する」と確認しましたが、FCAはこれを虚偽と判断しています。この説明がなければ移管は進められませんでした。21件では必要な許可があるとする金融助言申告書に署名しました。またQuilterのITシステム上で業務内容を偽り、移管を「ファンド初期費用」、一部を年金移管ではなく「個人年金」業務として分類したため、Quilterのコンプライアンスシステムが案件を検出できなかったと通知は述べています。
FCAは、この助言の対価としてQuilter経由でDPTの銀行口座に支払われた17万3,732.57ポンドを確認しました。両社の契約に基づきQuilterは手数料の15%を保持していました。Quilterは、無許可助言を受けた顧客への連絡と、保持した手数料に利息を加えた返還に取り組んだとFCAに説明しています。53人のうち4人は British Steel Pension Scheme の加入者で、助言時に特に脆弱な立場にあったと通知は記載しています。FCAは以前から、この制度から移管する消費者への助言をめぐって複数の会社や個人に執行措置を取ってきました。
Quilterは、システムへの不適切な記録、書類の欠落、助言が事前承認される前の支払い請求について懸念が生じたため、2019年3月26日にThomas 氏を顧客対応業務から停止しました。2019年9月20日には指定代理人契約を終了し、10月1日の書面で、権限のない確定給付年金移管助言を行ったことが理由だと確認しました。通知はまた、Thomas 氏が2022年11月4日以降、情報提供を求める度重なる要請や強制要求に応じず、2回目の面談を設定する試みにも応じなかったとしています。
制裁金の計算と審判所への付託
74万2,700ポンドの制裁金は、20万2,114ポンドの利益剥奪額と54万645ポンドの制裁部分から成ります。利益剥奪額は、違反から直接得たとFCAが判断した17万3,732ポンドと、イングランド銀行の基準金利で計算した利息2万8,382ポンドです。制裁部分は、違反期間中にDPTから得た関連所得112万6,345ポンドの40%を基礎とし、FCAの5段階で最も重大なレベル5に相当します。調査への非協力を反映して20%増額されました。合意割引は適用されず、FCAの通常の慣行に従い合計額は100ポンド単位で切り捨てられました。
FCAは2000年金融サービス市場法第66条に基づき制裁金を、第56条に基づき禁止命令を科し、Thomas 氏は誠実性を欠き、規制対象業務に関わるいかなる職務にも適した人物ではないと結論づけました。FCAの執行・市場監督担当エグゼクティブディレクター Therese Chambers 氏は、「誰かの年金について助言するとき、その人の将来を手にしています。Thomas 氏はその責任を無謀にも裏切りました」と述べました。
上級審判所は、制裁金についてFCAがどのような措置を取るのが適切か、また禁止命令に関する付託を棄却するか、指示を付してFCAへ差し戻すかを判断します。審判所の決定は同所のウェブサイトで公表されます。












