エネルギー
原子力関連5社:2023年の概況とその後の補足

原子力発電の可能性と課題
原子力発電には強い賛否があります。排出削減に重要だと考える人がいる一方、事故、廃棄物、費用を懸念する人もいます。本稿は2023年に公開された企業紹介です。企業データは主に当時の状況を示し、その後の出来事は区別して記載します。
広島と長崎への原爆投下、水素爆弾の開発、冷戦は、核技術の破壊力を示しました。ただし、軍事利用と、原子炉で制御された反応から電力を得ることは別です。
Atoms for Peace構想は平和利用を推進し、多くの国で原子力発電所が建設されました。原子力が短期間ですべての化石燃料を置き換えるという期待は実現しませんでした。
1979年のスリーマイル島、1986年のチェルノブイリ、2011年の福島の事故は信頼を損ないました。チェルノブイリが最初の原子力事故だったわけではありません。技術、組織、外的要因は事故ごとに異なります。
原子力発電を再評価する
どの電源にもリスクがあります。石炭、石油、バイオマスの燃焼は、大気汚染や事故を通じて大きな健康被害をもたらします。これは気候変動の影響を考慮する前でも同様です。
発電量当たりの死亡者数で比較すると、原子力は死亡率の低い電源に含まれます。それでも事故、廃棄物、不適切な管理のリスクは残ります。
原子力にはいくつかの重要な利点があります:
- ライフサイクル全体の温室効果ガス排出量は少ないものの、ゼロではありません。建設、採掘、燃料加工などでも排出が生じます。
- 発電量は日照や風に直接左右されません。ただし、熱波、干ばつ、冷却上の制約によって出力が低下することがあります。
- 継続的な電力供給が可能ですが、燃料交換や保守のための計画停止は必要です。
- 石炭・ガス火力の一部を代替できます。ただし、冬季や短時間の需要ピークに対して、常に最も安価な選択肢になるわけではありません。
- 燃料費が総費用に占める割合は、化石燃料を使う発電所に比べて相対的に小さくなります。
- そのため石油・ガス価格への直接的な影響は抑えられます。一方、建設費、資金調達、遅延は重要な要因です。
- 電源の多様化は供給の安定性を高める可能性がありますが、ウラン、濃縮、設備の供給者への依存は残ります。
新しい設計には受動的安全系などの改良が取り入れられています。しかし、すべての炉心溶融や事故の可能性を一律に排除するものではなく、設計と運転条件ごとの評価が必要です。
エネルギー需要の増加と脱炭素化を背景に、各国が原子力の役割を再検討しています。関連企業に機会が生まれる可能性はありますが、成長や株式リターンは保証されません。
原文は、既存の原子炉を約440基、建設中を約60基と紹介していました。さらに発注済み、計画中、検討中を合わせて約400基、そのうち中国が150基としていました。異なる段階をまとめた歴史的な推計であり、400基すべてに建設契約があったという意味ではありません。
発電量に占める原子力の割合は国と年で異なります。IAEAの2022年データではフランスが62.6%、中国が5.0%でした。原文の約69%は別の年の数値です。米国では約5分の1でした。交通や暖房の電化は電力需要を押し上げる可能性があります。
原子力の供給網を支える5社
1. NuScale Power Corporation
SMR 価格チャート
SMR 価格チャート
NuScaleは小型モジュール炉(SMR)を開発する米国企業です。大型炉を一基ずつ個別設計する方式に対し、小型化、部品の標準化、工場での量産を目指しています。
量産は一部の費用を抑える可能性がありますが、すべてのプロジェクトで実証された成果ではありません。小型化や受動冷却は安全性を高めても、事故リスクがゼロになるという保証にはなりません。
2023年のNRC設計認証は、1基50 MWeのモジュールを最大12基、合計600 MWeとするものでした。その後のUS460は77 MWeを6基、約462 MWeとし、2025年5月に標準設計の承認を受けました。設計の承認は、特定の発電所の建設・運転許可とは異なります。

出典: NuScale Powerの説明資料
廃止された石炭火力発電所の敷地への導入も検討できます。インフラの再利用は、立地、送電網の適合性、許認可に左右されます。
2023年には導入計画が米国 と ルーマニアで進められていました。米国のUAMPSとのCarbon Free Power Projectは、参加不足により2023年11月に終了しました。ルーマニアでの資金支援や調査は、発電所が完成したことを意味しません。15超の関心表明者や120超の見込み顧客は商談の可能性を示したもので、同数の確定受注ではありません。また、製鉄所などの産業顧客も、安定した電力と排出削減のための用途として検討されていました。最終費用と実現可能性は個別に評価する必要があります。
NuScaleの設計は、米国原子力規制委員会(NRC)が認証した初のSMR設計でした。
重要な規制上の節目でしたが、世界で疑いなく最も優れた技術であることを示すものではありません。政府支援は開発を助けても、商業的成功を保証しません。
同社株はSMR開発への投資機会を提供します。2028~2030年という時期は2023年当時の見通しであり、特に米国案件の中止後は確実な納入日ではありません。
2. BWX Technologies, Inc.
BWXT 価格チャート
BWXT 価格チャート
小型の原子炉は潜水艦や空母で何十年も使用されてきました。商用SMRの新興企業が初めて小型化を始めたわけではありません。
BWXTは艦船の原子力推進向けに炉心、部品、燃料を供給します。400超という納入実績はこの専門分野に関するもので、400基の商用発電所全体を建設したという意味ではありません。蒸気発生器315基という実績も過去の会社資料に記載されていました。

出典: BWXT
艦船向けの供給、サービス、保守は長期需要を生みます。2023年の記事で示された2053年までの計画は、艦隊運用や保守の予定であり、毎年の売上を保証するものではありません。
BWXTは核燃料の専門技術を持ちます。濃縮度20%以上のウランは高濃縮ウラン(HEU)であり、「高品質」という意味ではありません。HALEUのU-235濃度は5%超20%未満です。BWXTは、既存のHEUを19.75%まで希釈してHALEU原料を製造すると発表しました。新たなウランの濃縮とは異なります。すべてのマイクロ炉にHEUが必要なわけではありません。同社は放射性同位体や核医学にも取り組みます。原文の年間5億ドルは市場規模の推計であり、同社の確定売上ではありません。
BWXTはGE Hitachi Nuclear EnergyのBWRX-300にも協力しています。2023年3月の契約は圧力容器の設計支援であり、原子炉全体の所有権取得ではありません。エストニアでの技術選定やカナダでの検討・部品契約は、稼働中の発電所や最終的な建設発注と同義ではありません。
艦船と部品分野での経験はBWXTの強みになり得ます。軍事支出や新規案件は需要に影響しますが、実行、株価評価、顧客集中に伴うリスクは残ります。
3. Cameco Corporation
CCJ 価格チャート
CCJ 価格チャート
原子力発電には安定した燃料供給が必要です。ウランの存在量と、採算の取れる高品位鉱床の量は異なります。カザフスタンのKazatompromとカナダのCamecoは重要な生産者ですが、唯一の供給者ではありません。競争力は費用、契約、実際の生産量に左右されます。

出典: Cameco
Camecoは採掘以外にも事業を広げています。2022年にWestinghouseの49%を取得する契約を発表し、Brookfieldとそのパートナーが残る51%を保有します。買収は2023年11月7日に完了しました。Camecoが過半数の支配権を取得したわけではありません。
この持分を通じて、CamecoはWestinghouseのサービス、燃料、設備事業にも関わります。すべての新設発電所が同社から購入しなければならないという意味ではありません。同社の開発案件には、小型炉AP300も含まれます。2023年には、スロバキアや、フィンランド、スウェーデンで探索的な合意が結ばれました。Fortumとの合意は前提条件や実現可能性の検討であり、発電所の確定発注ではありません。
CamecoはウランとWestinghouse事業の両方への投資機会を提供します。Brookfieldとの提携は低炭素電源への投資にもつながります。原文がBrookfield Renewable Partners (BEP.UN.TO ) (BEPC ) (BEP )(BEP)に付した約190億ドルという評価は、当時のもので、現在の時価総額ではありません。
4. Centrus Energy Corp.
LEU 価格チャート
LEU 価格チャート
ロシアへの依存は、採掘、転換、濃縮という異なる工程に関わります。元の図の14%、27%、39%は、同じ年・同じ尺度による現在の割合とは限りません。鉱山生産量と転換・濃縮能力は別の指標です。

出典:IEA
ウクライナ侵攻により調達先の分散が重視されました。原文の「米国が毎年43億ドルをロシアに支払う」という主張は、参照資料では年間支払額として確認できず、ここでは検証済みの数値として扱いません。
Centrusは燃料供給と米国の遠心分離技術の開発に取り組みます。単に米国最大のウラン濃縮会社と呼ぶと、燃料の売買と生産能力を混同します。
2023年にはPiketonで、U-235濃度が5%超20%未満のHALEUの実証生産を進めていました。複数の先進炉で必要とされますが、すべてのSMRが使用するわけではありません。750グラムで一生分の電力を賄えるという説明には、消費量、効率、原子炉の種類についての前提が必要で、普遍的な値ではありません。

出典: Centrus
Centrusとその前身は、米国の核燃料事業やMegatons to Megawatts軍縮計画に関わってきました。DOEは2023年11月、16基の遠心分離機で最初の20キログラムのHALEUが製造されたと発表しました。これは実証段階の成果であり、需要全体を満たしたという意味ではありません。
原文の2017年以降の年平均成長率6.1%や燃料供給の売上比率80%は、当時参照された資料の数値であり、恒久的な成長率ではありません。Centrusの2023年売上高は3億2,020万ドルで、2022年の2億9,380万ドルから増加しました。2023年末の長期受注残は約10億ドルでした。
HALEU技術は優位性になり得ますが、独占は保証されません。DOEは2024年、HALEU濃縮業務で競争する4社を選定しました。許認可や安全保障は重要な参入条件ですが、軍事分野に関わらない競合を自動的にすべて排除するものではありません。
投資の論点は、先進的な燃料と国内供給網の強化です。資金、許認可、実際の受注、計画どおりの増産に左右されます。
5. Mirion Technologies, Inc.
MIR 価格チャート
MIR 価格チャート
原子炉や燃料のほか、発電所には信頼できるセンサー、測定器、部品が必要です。
Mirionは放射線の検出、測定、監視を手掛けます。従業員と環境の保護、漏えい監視、放射線治療、画像診断などに用いられます。

出典: Mirion
研究、廃止措置、除染、防衛向けの測定機器や関連サービスも提供します。Mirionは2021年10月20日にSPACとの統合を完了し、翌21日にNYSEで取引を開始しました。同社自身が2020年に上場したわけではありません。
11.6%の増収は、2023年第1四半期と前年同期の比較です。売上高は1億8,210万ドル対1億6,320万ドルでした。Medicalは10.5%、Technologiesは12.2%増で、同じ伸び率ではありません。買収や為替の影響を除くグループのオーガニック成長率は7.9%でした。

出典: Mirion
Mirionは原子炉全体の開発ではなく、測定と支援を提供します。供給網での位置が異なっても、財務、競争、株価の評価は必要です。
ここでいう「つるはしとシャベル」型とは、鉱山会社ではなく、業界に設備や基盤を供給する企業を指します。信頼できる放射線監視への需要は追い風になり得ますが、成長や投資収益を保証しません。













