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新しい脊髄インプラントがSCI回復に希望を示す

オークランド大学とスウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームが、損傷した脊髄に電界を加える薄い埋め込み機器を調べました。脊髄を損傷したラットでは、刺激を受けた群の後肢の運動機能と触覚反応が対照群より改善しました。ただし、これは動物実験の結果であり、人に対する治療効果が証明されたわけではありません。
脊髄損傷の治療が難しい理由
脊髄は脳と体の間で信号を伝えます。損傷すると運動や感覚に加え、膀胱や腸の機能にも影響が及びます。神経組織は皮膚のようには再生せず、現在、脊髄損傷を治癒させる方法はありません。そのため、機能の小さな改善にも意味があります。
電気刺激には複数の方法があります。残っている神経回路を活性化して損傷部位を迂回する方法もあれば、損傷部位そのものに低周波の電界を加える方法もあります。今回の研究は後者です。従来の金属電極には腐食の問題があり、脊髄の硬膜の外側に置くと電界が組織に十分届きにくいという課題もありました。
硬膜の内側に置く薄膜型機器
研究チームは、酸化イリジウム薄膜(SIROF)で覆った電極を備える薄いフィルムを作りました。これを硬膜の内側、脊髄の表面に設置し、損傷部位を挟むように電極を配置しました。損傷した組織を通る電界を制御するための設計です。

出典:オークランド大学
今回の実験で使われたのは、片方向に5マイクロアンペアを250ミリ秒流し、続いて逆方向にも同様に流す二相性パルスで、頻度は約2ヘルツです。15分ごとに極性を切り替える方法は以前の研究で用いられたものです。英語の元記事では両者が混同されていますが、今回のラット実験の刺激条件は前者です。
実験結果と限界
ラットの胸部脊髄に打撲損傷を与え、治療群には当初は毎日、その後は週5日、1日1時間の刺激を行いました。観察期間は12週間で、運動、触覚および組織を非刺激群と比較しました。
治療群は後肢の機能と触覚反応が改善しました。刺激に伴う脊髄の神経炎症の増加は認められませんでした。一方、12週間後に損傷部周辺の軸索密度が増えたという証拠もありませんでした。したがって、この研究が示したのは動物モデルでの機能改善であり、神経が再生したことや損傷が完全に治ったことではありません。
試験中、電極は刺激を伝達し続けましたが、取り出す際に一部の電極表面が剥がれる現象が見られました。長期の耐久性と安全性、改善が生じた仕組みには追加研究が必要です。人に対する有効性も、臨床導入の時期も確立していません。
研究チームと今後
ブルース・ハーランド、ルーカス・マター、マリア・アスプルンド、ダレン・スヴァースキスらが研究に参加しました。装置と刺激条件を改善し、結果が再現するか検証することが次の課題です。将来の用途として脊髄損傷後のリハビリテーションが考えられますが、人に役立つかは臨床試験で確かめる必要があります。
投資の観点
神経系の医療機器開発には長い研究期間と承認審査が伴います。英語の元記事が挙げるティジアナ・ライフ・サイエンシズは別の神経疾患向け治療を開発しており、このインプラント研究には参加していません。同社株はこの装置への直接投資には当たりません。
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参考文献:Harland, B., Matter, L., Lopez, S. ほか「Daily electric field treatment improves functional outcomes after thoracic contusion spinal cord injury in rats」Nature Communications 16, 5372 (2025)。doi:10.1038/s41467-025-60332-0。












