コンピューティング
テラダイン(TER):半導体検査の大手であり、ロボット関連銘柄でもある企業

テラダインの主力事業:半導体検査のリーダー
AI・ロボット関連株が活況を呈するなか、注目は人型ロボットや大規模言語モデル(LLM)など、消費者に近い分野に集まりがちです。
一方、一般の人や投資家の目に触れにくい企業間取引(B2B)の分野でも、デジタル化の流れを背景に大きな収益が生まれています。
その一つが半導体検査です。処理用チップ、メモリモジュール、アンテナ、センサーなどの生産量とともに成長しています。
この分野の先駆者であり、長年にわたるリーダーがテラダイン(Teradyne)です。
現在は産業用ロボットの主要メーカーでもあり、自動化や、米国で進む急速な再工業化・製造業の国内回帰から恩恵を受けると考えられます。
TER 価格チャート
テラダインの歴史
同社は1960年、MIT卒業生のアレックス・ダーベロフとニック・デウルフによって設立されました。二人は、量産化と半導体の普及に伴い、検査も自動化する必要があると考えていました。
最初の製品は、防衛企業レイセオン向けのダイオード試験装置でした。その後、初期の半導体製品向けにさまざまな試験システムを開発し、1970年に株式を公開しました。
以後数十年にわたり、新製品の開発に加え、競合企業や重要な技術を持つ企業を買収し、半導体検査市場での基盤を拡大してきました。

出典: Teradyne
同社の理念の中心にあるのは、市場に反応するだけでなく、本当に必要とされるものを先読みすることです。
「顧客が求めるのは、昨年のモデルをもっと安くしたものです。しかし、顧客に本当に必要なものを知るには、顧客自身と同じくらい深く、その仕事を理解しなければなりません。
そして必要なものを作り、それが必要であることを顧客に理解してもらうのです。」
— ニック・デウルフ
当初はコンピューティングや防衛向けの製品が中心でしたが、General Radio(GenRad)の買収で自動車市場に進出しました。その後、NextestとEagle Test Systemsの買収によりメモリやディスクドライブなどの検査を、LitePoint Corporationの買収によりPC、タブレット、携帯電話などの検査を拡充し、民生用電子機器の検査市場へ事業を広げました。
半導体検査を中心としてきた同社にとって大きな転機となったのが、2015年のデンマーク企業Universal Robotsの買収です。同社は協働ロボット市場のリーダーです(後述)。
2018年のMiR買収と2019年のAutoGuide Mobile Robots買収により、自律移動ロボット市場でも製品群が拡大しました(後述)。
「テラダインの財務基盤と世界的な事業網はAutoGuideの成長を支えます。これにより、顧客に業界最高水準の価値をもたらす高付加価値の自動化システムを、機敏に開発・導入する姿勢を維持できます。」
— ロブ・サリバン、AutoGuide元社長兼CEO
テラダインの半導体検査事業
現在もテラダインの中心は半導体・電子機器の検査事業です。ロボット事業の売上比率は小さく、2024年は13%、検査事業の成長を受けて2025年第3四半期には9.8%でした。

出典: Teradyne
半導体検査は製造工程の重要な段階です。品質管理を徹底し、不良チップやメモリによるリスクと損失を抑えます。
そのためには、半導体製品の種類ごとに専用装置が必要であり、各メーカー固有の要求にも対応できる柔軟な設計が求められます。精密な測定と検査では、欠陥の除去、バウンダリスキャン、電源投入時の組み込み自己テスト(BIST)、複数デバイスへの並列書き込みなど、高度な技術的処理が扱われます。

出典: Teradyne
テラダインは日本の競合アドバンテスト(6857.T)と並ぶ業界のリーダーです。半導体自動試験装置(ATE)市場では、両社のシェアが他社を大きく引き離しています。
同社は検査事業を支える三つの基本的な潮流として、垂直統合、電化、AIを挙げています。
横にスワイプして表をご覧ください →
| 比較項目 | テラダイン | アドバンテスト |
|---|---|---|
| 主な注力分野 | SoC、メモリ、パワー半導体、フォトニクス | メモリおよびロジックの検査 |
| ロボット事業の有無 | あり(協働ロボットと自律移動ロボット) | なし |
| AI向け検査への対応力 | 高い(HBM、チップレット、フォトニクス) | 高い(メモリ分野を重視) |
垂直統合
垂直統合とは、S&P 500の主要テクノロジー企業が、数十年にわたる供給網の海外移転や外部委託を経て、特にチップの製造や技術を徐々に社内へ取り込んでいく動きを指します。

出典: Teradyne
「成長の主な原動力は、AI用途のシステム・オン・チップ(SoC)向けソリューションと、メモリ分野の好調な業績でした。
第4四半期に向けても、コンピューティング、ネットワーク、メモリの各分野でAI関連の検査需要は堅調です。2025年第4四半期の売上高は、前四半期比25%、2024年第4四半期比27%の増加を見込んでいます。」
電化
電化は電気自動車だけの話ではありません。データセンターの電力需要が急増し、さらに製造業、重工業、暖房など他の用途でも電力需要の拡大が予想されるため、半導体の需要も増えます。

出典: Teradyne
これによって安定した新市場が生まれると考えられます。例えば電気自動車では、従来の内燃機関車に比べて約2倍の半導体検査が必要です。
2025年1月、テラダインとドイツの半導体設計・製造企業インフィニオンは、パワー機器の検査に関する戦略的提携を締結しました。
この契約でテラダインは、インフィニオンの自動試験装置チームの一部を取得します。対象は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)など、電力用途に適した材料に関する技術です。
「インフィニオンの技術は、市場をリードする当社のETS製品群を強化します。これは、変化する顧客ニーズに応える革新的なソリューションを提供し続けるという当社の姿勢を示すものです。」
インフィニオンは、この事業を拡大して世界展開できるテラダインの能力から恩恵を受けます。
「テラダインは、パワー半導体の検査能力を進化させるための戦略的パートナーです。
両社は、SiCやGaNなどの新技術で変化する検査課題に、市場と顧客が求める規模と柔軟性で対応します。同時に、当社の従業員に対して、高度に専門化された企業での長期的な展望を提供します。」
AI
テラダインはAI分野を、半導体製造の需要が急拡大する重要な源泉と捉えています。
現在はコンピューティング、データセンター、IT事業が需要を牽引していますが、中期的には自動運転車、モバイルAIエージェント(AI対応スマートフォン)、IoTが成長を支えると見ています。
AI固有の新たな設計、概念、半導体部品の多くは、2025年や2026年にようやく立ち上がり始めた段階です。テラダインはすでに、それらに対応する体制を備えています。

出典: Teradyne
フォトニクス
AIデータセンターは計算能力を増強しながら消費電力を削減する必要があり、フォトニクスをはじめとする新たな計算技術へ向かっています。
シリコンフォトニクスは、データセンター全体の消費エネルギーを30%削減し、帯域幅を10倍に拡大すると期待されています。
「クラウドAIがもたらす異例の成長と複雑化に対応するには、次世代ネットワークの帯域幅を支え、必要な電力を削減する光接続ソリューションが必要です。」
この市場での地位を確立するため、テラダインは2025年3月にQuantifi Photonicsを買収しました。同社は、光集積回路(PIC)、コパッケージドオプティクス、プラガブル光モジュールを、拡張性とコスト効率に優れた形で大量生産するための半導体検査技術を提供しています。
「シリコンフォトニクス市場は転換点にあり、その可能性を最大限に引き出すには革新的で最先端のソリューションが必要です。
両社の強みを組み合わせることで、テラダインとQuantifi Photonicsは、顧客が規模を拡大できる包括的なターンキー方式の光デバイス検査ソリューションを提供します。」
テラダインは、シリコンフォトニクスによるデータセンターの従来型ネットワークの変革を捉え、2桁成長への回帰を目指しています。2028年までの年平均成長率12%を目標とするうえで、この買収は重要です。
ロボティクス
協働ロボット
協働ロボット(コボット)は、反復的で危険な作業を自動化する、低コストで導入しやすいロボットです。例えば、工作機械への材料供給や取り出し、包装・パレタイズ、組み立て、接着、はんだ付け、研磨、ねじやナットの締め付けなどに使われます。
そのため、現在のロボット市場で最大の分野である重工業だけでなく、低価格製品を扱う現場も含め、ほぼあらゆる製造、組み立て、梱包、加工の工場や倉庫に適用できます。
低コストで導入しやすいため、平均的な投資回収期間は12~18カ月です。利用できる現場では、導入の合理性が高いと言えます。

出典: Teradyne
こうした分野では、すでに大量生産によって高い利益を得られる可能性があります。テラダインはそこで規模を確保し、将来ロボット市場のほかの新興分野でもシェアを獲得できます。
自律移動ロボット
自律移動ロボットは、モデルに応じて250 kg(551ポンド)から1,350 kg(2,976ポンド)までの荷物を運ぶように設計されています。

出典: Teradyne
テラダインのAutoGuide自律移動ロボット(AMR)は、Pactiv、Ford、Husqvarnaなどの主要メーカーや倉庫事業者で価値を実証してきました。
SurePathなどの堅牢なソフトウェアが複数ロボットの運用管理を支え、倉庫内での安全性と効率を高めます。長期的には、さらに高度なAIによって有用性と効率が向上すると考えられます。
「大きな荷物を運ぶAMRの市場は、世界のフォークリフト市場のなかで急成長している新興分野です。
AutoGuideのモジュール型構造と革新的な技術は、安全で導入しやすい製品を実現しています。これらはMiRの小・中積載量向けAMRを自然に補完し、魅力的な市場でのテラダインの事業範囲を広げます。」
— マーク・ジャギエラ、テラダイン元CEO
テラダインはロボット製品群を急速に拡充し、クリーンルーム対応ロボットや溶接用追加機器など、各業界に特化した機能を加えてきました。

出典: Teradyne
同社はUniversal RobotsやMiR(Mobile Industrial Robots)など、買収した複数のロボット事業の統合を徐々に深めています。特に、マーケティング、販売、サービス部門の集約を進めています。
テラダインはロボット市場が2028年までに倍増すると見ています。最も成長が速いと予想するのは、同社が注力する物流、ライフサイエンス、食品・飲料、半導体の各分野です。

出典: Teradyne
米国の防衛・航空宇宙分野の検査におけるテラダインの役割
米国の軍事予算は、今後2年間で年間1兆ドルという巨額の水準から、さらに大きい1.5兆ドルへ拡大する計画です。この分野では、他の産業以上に供給網を米国内へ戻すことが優先されています。

出典: Donald Trump
米国大統領は兵器の生産加速と、配当や自社株買いではなく生産能力の拡大への資金配分を求めています。これにより半導体検査装置の需要が大きく増える可能性があり、テラダインはこの分野で一括して対応できるソリューションを提供しています。
ここでの半導体関連用途には、チップだけでなく、レーダー、電子戦装置、ミサイルなども含まれます。

出典: Teradyne
テラダインの装置は、運用中の軍用装備の保守、修理、検査にも使えます。対象は整備廠レベル、中間整備レベル、運用現場レベルに及びます。米軍が即応性の向上を目指すなか、こうした業務の需要も増えるでしょう。
追加される5,000億ドルの軍事予算の大部分は防衛企業に向かうとしても、テラダインを含むそのサプライヤーも、巨額の急激な政府支出増から大きな恩恵を受ける可能性があります。
結論
テラダインは、チップやコンピューター化されたシステムが自動車などの消費者向け製品や日常生活へ広がるなか、半導体業界とともに成長してきました。
現在はAIの急拡大、電化の加速、大手企業によるIT関連製造の垂直統合が進み、同社は複数の力強い成長潮流を取り込める立場にあります。
加えて、製造・物流現場で予想されるロボット活用の拡大にも備えています。協働ロボットのように、設備投資額が比較的小さく、投資回収が速い分野も含まれます。
最後に、米軍にサービスと検査能力を提供する主要企業であることから、トランプ政権下での軍事支出拡大は、同社の規模に照らして大きな追い風となると考えられます。











