
Shahar Levy, Almediaの不正対策責任者 Shahar Levy Almediaの不正対策責任者
Shahar LevyはAlmediaの不正対策チームを率い、不正行為に対抗するための戦略策定と業務運営を担っています。不正リスク、分析、AIの分野で14年以上の経験を持ち、PayPal、SumUp、Fraugsterでは管理職を務めました。
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先日、ある広告主から朗報が届きました。キャンペーンが非常に好調で、ユーザーの支出額が増え、広告費1ドルあたりの収益も大幅に向上しているとのことでした。 結果を詳しく調べると、実態はまったく異なっていました。広告主側の脆弱性を悪用した不正なトラフィックだったのです。私たちは保護策を追加し、広告主に問題の特定と修正を依頼しました。 この経験は、不正対策に長年携わるなかで学んだことを示しています。期待外れの結果だけでなく、異例なほど好調な結果にも同じように注意を払う必要があります。キャンペーンは優れた成果を上げているように見えても、実際には、ほとんど本質的な価値をもたらさない行動に企業が費用を払っている場合があります。 顧客獲得を金銭的な特典に頼るフィンテック企業や暗号資産企業にとって、これは特に重要です。Sumsubの「2025~2026年版 身元詐称詐欺レポート」によると、巧妙な身元詐称詐欺は2024年から2025年にかけて世界全体で180%増加しました。また同レポートは、より複雑で複数の段階を伴う詐欺手口へと移行していることも指摘しています。 財務責任者にとっての課題は、正当な顧客に特典を提供し続けながら、不正行為者が顧客獲得予算から得る取り分の増加をどう防ぐかです。 なぜ成長促進の特典は真っ先に不正の標的になるのか 新規登録ボーナスや紹介プログラムは、比較的少ない手間で金銭を得られるため、格好の標的になります。 誰かが登録してボーナスを受け取り、さらにもう一度受け取るのを妨げるものがないと気づきます。2つ目のアカウントでやめる理由があるでしょうか。新しい顧客を紹介しなくても何度も報酬を受け取れるなら、紹介報酬も同じように悪用される可能性があります。 不正行為者はこうした機会を積極的に探し、不正対策の仕組みが十分に検証される前に魅力的な特典を提供している新興企業を探し回ります。新しい紹介プログラムを始める既存企業も、同種の悪用が大規模に発生した経験がなければ、同じように危険にさらされる可能性があります。 だからといって、企業に特典の提供を思いとどまらせたいわけではありません。特典は顧客獲得に非常に効果的です。ただし、企業が本当に促したい行動につながるよう設計し、繰り返し悪用されないための対策を講じる必要があります。 AIの登場によって、この問題はさらに複雑になりました。 以前は、大量の不正登録を自動化するには、スクリプトを書いたりボットを開発したりできる人が必要でした。現在では、技術的な経験が乏しい人でもAIを使ってそうしたツールを作り、状況の変化に応じて調整できるようになっています。 その結果、不正行為が分散化しているのを目の当たりにしてきました。かつては高度な技術を持つ集団にしかできなかった行為が、より小規模な組織や、さらには個人にも広がりつつあります。 そのため企業が直面する課題も変わりました。もはや、少数のプロの不正グループだけを相手にしているとは限りません。特典を何度も受け取れる場合、対策が不十分な特典には、独立した多数の不正行為が集まるおそれがあります。 キャンペーンの好成績が不審な兆候となるのはなぜか 成長チームは通常、キャンペーンの不振を調査します。しかし、予想外に好調な結果についても、同じように徹底して把握すべきだと私は考えます。 たとえば、広告費用対効果(ROAS)を考えてみましょう。これは、広告費1ドルあたりにキャンペーンが生み出す収益を示す指標です。 費用対効果が低ければ、獲得した顧客が十分な価値を生み出していないことを示します。しかし、特に過去の実績から急激に外れている場合、異常に高い費用対効果も不正の兆候となり得ます。 不正行為者は、偽の購入を実際の取引に見せかけられる弱点を悪用することがあります。保護が不十分な決済プロセスや、報酬を得るために必要な行動のコストを報酬が上回るプロモーションを狙う場合もあります。 これらは別々の問題ですが、共通点があります。その裏にある行為が不正であっても、数字は魅力的に見えることがあるのです。 先ほど紹介した広告主の事例では、まさに急な改善が調査のきっかけになりました。広告主には支出額の増加と費用対効果の向上が見えていました。しかし、実際の行動を詳しく調べたところ、悪用されている脆弱性が明らかになりました。 キャンペーン開始後の最初の数日間、私は誰が登録しているのか、そしてユーザーが何をしているのかを把握したいと考えます。アカウント間に不自然な共通点はないでしょうか。ユーザーの行動は、広告対象の金融商品に照らして妥当でしょうか。 開始後も監視を続ける必要があります。ここでの課題は、アナリストに誤警報を大量に浴びせることなく、異常な行動をすばやく見つけることです。警告が絶えず発せられると信頼しにくくなり、一方で重要な変化を見逃すと、企業は危険にさらされます。 財務責任者は、追加予算を承認する前に、キャンペーンの成果が大きく改善した理由を成長チームに説明させるべきです。 拡大する前に、顧客獲得パートナーに何を尋ねるべきか? 広告ネットワークや顧客獲得パートナーへの支出を増やす前に、私なら次の2つを尋ねます。 ユーザーにはどのような報酬が提供されているのか。また、不正行為者がその報酬を大規模に獲得するのを防ぐ手立ては何か。 顧客獲得を担当する人なら、これらの質問を理解し、納得のいく答えを用意しているはずです。 次のような回答があれば、予算の増額を考え直します。 パートナーが、ユーザーへの報酬の仕組みを明確に説明できない 報酬がどのように悪用される可能性があるかについて、話し合いを避ける 不正行為が起きる可能性は低いとして、問題を軽視する 不正行為への対処経験について話せない 不正行為に遭遇したことは一度もないと主張する とりわけ最後の回答は、重大な警告サインです。 不正行為の問題に一度も直面したことがないと言われると、それを見抜く経験が十分にあるのか疑問に思います。問題の存在を認めることは、対処の基本です。 パートナーが機密性の高い検知方法を明かす必要はありません。しかし、提供している報酬の仕組みを理解し、不正利用への対処方法について話し合える状態である必要があります。 こうした話し合いは、企業が予算を大幅に増やす前に行うべきです。キャンペーンを拡大してから、誰もこうした問いを検討していなかったと判明すれば、その代償はあっという間に膨れ上がりかねません。 本人確認済みのアクションへの報酬だけで十分か?…
Shahar Levy, Almediaの不正対策責任者