サステナビリティ
炭素繊維が一般的になるにつれて、どのようにリサイクルされるのか?

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、強い繊維を樹脂で固めた複合材料で、航空機、自動車、風力発電設備などに使われます。廃棄後は、硬化したエポキシ樹脂から繊維を取り出すことが課題です。2024年にScientific Reportsに掲載された研究は、電気パルスを使う二つの回収法を比較しました。
炭素繊維の再利用が難しい理由
機械的に細かく砕くと繊維が短くなりやすく、熱や溶媒を使う方法には設備、エネルギー、排出物などの課題があります。強度の低下率は方法ごとに異なり、すべての工程に共通する「85%低下」という数字はありません。回収繊維の用途には長さ、引張強度、表面に残る樹脂の量が影響します。
直接放電と電気水圧破砕
原著論文の直接放電(DD)では、電極をCFRP試料に接触させ、高電圧の短いパルスを材料内部に流します。内部に生じる熱などが樹脂と繊維の分離を促します。一方、電気水圧破砕(EHF)は水中で放電し、衝撃波によって積層材を砕きます。二つの方法は作用の仕組みが異なります。
試験で得られた数値
研究チームは厚さ8 mmのCFRP積層材を使いました。回収した繊維の引張強度はDDで約5.1 GPa、EHFで約2.6 GPa、処理前は約6.3 GPaでした。元の強度に対してそれぞれ約81%と40%です。残った樹脂はDD繊維で質量の約20%、EHF繊維で約34%であり、処理前の積層材は約36%でした。試験条件下ではDDの方が長い繊維も回収しました。
装置の制約によって両方法の試料サイズやパルス条件は異なります。この比較はDDに有利ですが、工業的な炭素繊維再生の消費電力が常に従来法の3分の1になると証明したものではありません。その数字は別の材料に関する先行実験から引用されていました。
実用化に向けた課題
回収繊維は連続繊維ではなく、用途に応じて選別や長さの調整が必要です。大量処理時の費用、電気安全性、樹脂残渣の処理、環境負荷、品質の再現性も評価しなければなりません。今回の結果だけで航空機の主要構造部材への再使用が認められるわけではありません。
研究者と企業
論文の筆頭著者は所千晴です。Clearway Energyは別のエネルギー企業であり、この実験の参加者として示されていません。研究結果は同社の売上や株価を予測する根拠にはなりません。
Clearway Energy
(CWEN )CWEN 価格チャート
まとめ
この実験では、直接放電が電気水圧破砕よりも長く強い繊維を、樹脂の付着を抑えて回収しました。産業規模での有効性は今後の検証課題です。
参考研究:
Tokoro, C. ほか (2024). Efficient recovery of carbon fibers from carbon fiber-reinforced polymers using direct discharge electrical pulses. Scientific Reports 14, 29762. doi:10.1038/s41598-024-76955-0.













